ナノテクノロジー:ピコニュートンからマイクロニュートンまでの力の赤外ナノセンサー
Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08221-2
機械的な力は多くの物理学的過程や生物学的過程に本質的な特徴であり、ロボット工学、生物物理学、エネルギー貯蔵、医学を含むさまざまな応用には、高い感度と空間分解能で機械的信号を遠隔計測する必要がある。発光型ナノスケール力センサーはピコニュートンの力の測定に秀でているが、マイクロニュートンの力を調べるにはさらに大きなセンサーが有力であることが分かっている。しかし、表面下や界面の部位から遠隔で探ることのできる力の規模に大きなギャップがあり、多くの系を理解するのに必要な広いダイナミックレンジにわたって測定できる個別の非侵襲センサーはない。今回我々は、近赤外光を深く透過させることによって遠隔で扱うことができ、4桁を超えるダイナミックレンジでピコニュートンからマイクロニュートンまでの力を検出できるTm3+ドープ・アバランシェ(なだれ)ナノ粒子力センサー(Tm3+-doped avalanching-nanoparticle force sensor)を実証する。我々は、原子間力顕微鏡法と単一ナノ粒子光学分光法を組み合わせて用いて、光子アバランシェ過程(photon-avalanching process)の機械的感度を評価し、その並外れた力応答性を明らかにした。我々は、ナノセンサー内のTm33+濃度とエネルギー移行を操作することによって、メカノブライトニング(mechanobrightening)やメカノクロミズムを含むさまざまな光学的力センシング様式を実証した。こうしたナノスケールの光学的力センサーは、適応性とマルチスケールセンシング能力を有するため、生物有機体からナノエレクトロメカニカルシステムまで、現実世界の複雑な構造に存在する動的でさまざまな環境において動作させることができる。

