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神経科学:前頭前皮質が視床経由で行う不確実性処理が柔軟な意思決定切り替えを促す

Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08180-8

複雑な環境の中で適応的意思決定を下すには、エラーの源を適確に特定することが必要である。適応的意思決定には前頭皮質が重要だが、前頭皮質のニューロンは課題の諸特性やそれらの不確実性の推定に対して多様な選択性を示すので、エラーをどのようにして最も可能性の高い原因に帰するのかという疑問が生じる。今回我々は、ルールの逆転を含む階層的な意思決定課題を実行中のツパイ(Tupaia belangeri)から神経応答を記録したところ、視床背内側部が独立に、手掛かりとルールの不確実性を表現していることを見いだした。これによって該当する視床の細胞集団が、エラーを環境の変化に適切に帰着させ、ルール逆転後の前頭皮質での再構成を促すことが可能になる。行動の切り替えを機構的に分析した結果、帯状皮質のエラー監視を行う視床経由の経路が、前頭皮質の実行制御を再構成することが明らかになった。総合すると、今回の結果から、視床が皮質–皮質コミュニケーションのために低次元性の経路を提供しつつ、皮質信号を成分分離する役割を担っている可能性がはっきりと示された。

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