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生化学:リシンの標的化と亜鉛の新規キレート化を介した変異体選択的AKT阻害
Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08176-4
発がん性キナーゼAKT1の体細胞変異は、幅広い固形腫瘍で見つかっている。最もありふれたAKT1変異は調節性プレクストリン相同ドメイン中のGlu17のLysへの置換(E17K)で、構成的な膜局在と発がん性シグナル伝達の活性化を引き起こす。臨床研究では、汎AKT阻害剤が用量制限を要する高血糖を引き起こすことが判明し、このため、変異体選択的な阻害剤の探求が行われている。今回我々はE17K変異体を利用して、野生型AKTパラログよりもAKT1(E17K)に対する選択性を示す、リシンを標的とするアロステリックなサリチルアルデヒド阻害剤を設計した。アロステリック部位の近傍に保存された3つのリシン残基が存在しているので、難しい課題であった。この共有結合性阻害剤複合体の結晶解析により、予想外なことに、キナーゼ活性化ループ内の隣接する2つのシステインに配位すると同時に、E17K–イミン抱合体に関与する、偶発的な四面体型亜鉛イオン(の存在)が明らかになった。このAKT1(E17K)と結合したサリチルアルジミン複合体は、野生型AKT1との複合体とは違って、細胞内の内在性Zn2+を引き寄せることで、阻害が持続する。サリチルアルデヒドをベースとした阻害剤は、AKT1(E17K)腫瘍の異種移植モデルにおいて、高血糖を引き起こさない用量で効果を示した。この研究によって、変異体のリシンを標的化するとともに、生じたサリチルアルジミン付加体によりZn2+をキレート化することによって、極めて長い滞留時間を基盤とするAKT1(E17K)選択性を達成できる可能性が明らかになった。

