ウイルス学:ウシH5N1ウイルスのヒト分離株は動物モデルにおいて伝播可能で致死的である
Nature 636, 8043 doi: 10.1038/s41586-024-08254-7
米国の乳牛におけるH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAI H5N1)のクレード2.3.4.4bのアウトブレイク(集団発生)は、スピルオーバー(異種間伝播)により、これまでに少なくとも14人の酪農場従業員の感染を引き起こしている。感染者は軽度の呼吸器症状あるいは結膜炎を呈し、動物への曝露が分かっていない1人は入院したものの回復した。今回我々は、感染して結膜炎を発症した酪農場従業員1人の眼から分離されたウイルスであるA/Texas/37/2024(huTX37-H5N1)の性状を解析した。huTX37-H5N1は初代ヒト肺胞上皮細胞で効率的に複製したが、角膜上皮細胞ではそれほど効率的に複製しなかった。huTX37-H5N1は、感染した従業員では軽症であったが、マウスとフェレットでは致死的で、全身に広がり、呼吸器とそれ以外の器官で高力価を示した。huTX37-H5N1が、フェレットでの4回の独立した実験において、17~33%の割合で飛沫によって伝播し、曝露されたフェレット6匹のうち5匹が感染し死亡したことは特筆すべき点である。ウシ分離株がコードするPB2-631Lは、ヒト細胞でインフルエンザポリメラーゼ活性を促進したことから、哺乳類への適応に関して、huTX37-H5N1がコードするPB2-627Kと同様の役割を担っていることが示唆される。さらに、ウシHPAI H5N1ウイルスは、in vitroおよびマウスの両方でポリメラーゼ阻害剤に感受性であることが分かった。このように、乳牛由来のHPAI H5N1ウイルスは、事前の適応なしに、哺乳類間で飛沫によって伝播し、動物モデルで致死的な感染症を引き起こす。

