ウイルス学:フェレットにおけるクレード2.3.4.4b A(H5N1)ウイルスのヒト分離株の伝播
Nature 636, 8043 doi: 10.1038/s41586-024-08246-7
2020年以来、野鳥集団では高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)の前例のない世界的な拡大が続いており、さまざまな哺乳類種へのスピルオーバー(異種間伝播)が起きていて、ヒトへの伝播も散発的に見られる。2024年3月、クレード2.3.4.4b A(H5N1)ウイルスは米国の乳牛で最初に検出され、続いて多数の州で見つかり、十数以上のヒト確定症例につながった。今回の研究では、フェレットを用いて、テキサスの酪農場従業員から分離したA/Texas/37/2024(TX/37)A(H5N1)ウイルスの評価を行った。フェレットはよく調べられている動物モデルで、ウイルスの病原性と伝播性を同時に解析することができる。その結果、本ウイルスはフェレットでのロバストな全身性感染に顕著な能力を有しており、未感染の接触対象に対して高レベルのウイルス排出と拡散をもたらすことが明らかになった。TX/37を接種したフェレットでは重症で致命的な感染が速やかに起こり、ウイルス血症や肺外への拡散といった特徴が見られた。このウイルスは直接的な接触で効率良く感染し、また媒介物による間接的な感染能力を有していた。空気感染は、感染動物が空気中に排出した感染性ウイルスの検出によって裏付けられたが、そのレベルは、感染力の高いヒト季節性やブタ由来のH1サブタイプ株に比べて低かった。我々の結果は、TX/37は鳥様受容体結合特異性を維持しているものの、2024年の畜牛でのアウトブレイク(集団発生)前に分離された他のクレード2.3.4.4bウイルスと比べて、毒力、伝播性および空気中への排出が高いことが示され、公衆衛生の警戒を継続する必要性を明らかにしている。

