健康科学:自動化されたリアルワールドデータの統合によってがんの転帰予測を改善する
Nature 636, 8043 doi: 10.1038/s41586-024-08167-5
健康記録のデジタル化と腫瘍DNA塩基配列解読結果が入手しやすくなったことで、がんの転帰の決定要因を研究する機会がこれまでにないほど増えている。患者のデータは、構造化されていないテキストとサイロ化されたデータセットに保存されていることが多い。今回我々は、自然言語処理アノテーションを、スローン・ケタリング記念がんセンターの2万4950人の患者からの構造化された投薬データ、患者報告による人口統計学的属性情報、腫瘍レジストリおよび腫瘍ゲノムデータと組み合わせて、MSK-CHORD(Memorial Sloan Kettering Cancer Center - clinicogenomic, harmonized oncologic real-world dataset)を作製した。MSK-CHORDには非小細胞肺がん(n = 7809)、乳がん(n = 5368)、大腸がん(n = 5543)、前立腺がん(n = 3211)および膵臓がん(n = 3109)のデータが含まれており、今回よりも小規模なデータセットでは明らかにならない臨床・ゲノム間の関係を見つけ出すことができる。MSK-CHORDを用いて機械学習モデルを訓練し、全生存率を予測したところ、自然言語処理から得られた特性(例えば疾患部位)を含むモデルは、交差検証と外部の多機関データセット使った試験では、ゲノムデータ、あるいは病期のみに基づくモデルよりも優れていることが分かった。70万5241件の放射線科診断報告書をアノテーションすることで、MSK-CHORDは特定の器官部位への転移の予測因子も明らかにした。これには独立したデータセットで裏付けられた、免疫療法を受けた肺腺がんでのSETD2変異と低い転移可能性の間の関係が含まれる。我々は、構造化されていないメモから自動的にアノテーションを行うことの実現可能性と、患者の転帰を予測する上でその有用性を実証した。結果として得られたデータは、リアルワールドでの腫瘍学研究のための公開情報資源として提供されている。

