Perspective
植物遺伝学:作物トランスレーショナルゲノミクスの将来性と課題
Nature 636, 8043 doi: 10.1038/s41586-024-07713-5
作物トランスレーショナルゲノミクスは、ゲノムデータセットに基づく育種技術を作物の改良に適用する研究分野である。過去10年間の技術的革新は、ますます多くの作物品種のゲノム塩基配列解読を可能にし、作物の生産力の遺伝子レベルでの解明に寄与してきた。しかし、研究の知見を育種への応用に橋渡しすることは、依然として困難である。本論文で我々は、実験室で得られた成果の野外での応用における作物トランスレーショナルゲノミクスについて、最近の進歩と今後の展望を概説する。遺伝子マッピング、ゲノム選抜、塩基配列に支援された植物遺伝資源の特性評価と実地展開は、大規模な個体群の迅速なジェノタイピングを利用している。これらの手法はいずれも、表現型に強く作用する単一の遺伝子が影響力を発揮する質的形質の育種に影響を及ぼした。収量や花成時期などの量的形質の基盤となっている複雑な遺伝的構造の特性評価には、とりわけ新たに栽培化された作物においては、標的化した介入を設計する前に、遺伝子の調節や相互作用に関する研究、そしてゲノム的手法とハイスループット表現型解析の統合など、さらなる基礎研究が必要となる。作物トランスレーションゲノミクスにおける今後の優先事項としては、低所得国でのゲノミクス支援育種の援助や、変化する環境変化への作物適応が挙げられる。

