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健康科学:脂肪組織は減量後も肥満のエピジェネティック記憶を維持する

Nature 636, 8042 doi: 10.1038/s41586-024-08165-7

肥満症の治療では、代謝的健康や関連する併存疾患を改善するために、体重を減らすことが主要な目的となる。しかし、減った体重を維持するのはかなり難しい課題であり、それはとりわけ身体が体重の変化を防ごうとして肥満の原因となる記憶を保ち続けるためらしい。この現象の基盤となる分子機構はほとんど分かっていないため、この障壁を克服して治療を長期的に成功させるのは難しい。今回我々は、単一核RNA塩基配列解読を用いて、ヒトとマウスの脂肪組織では、大幅な減量後でも細胞の転写的変化が維持されることを明らかにした。さらに、マウス脂肪細胞のエピゲノムには肥満によって誘発される持続的な変化があり、これが脂肪細胞の機能や代謝刺激に対する応答に悪影響を及ぼすことを見いだした。このような肥満の原因となる記憶を持つマウスではリバウンドによる体重増加が加速し、こうしたエピジェネティック記憶により、その後の高脂肪食摂取への応答で見られる脂肪細胞の転写調節不全を説明できることが分かった。まとめるとこれらの知見は、マウスの脂肪細胞や、おそらくは他の細胞タイプに、肥満の原因となる記憶(主に安定的なエピジェネティック変化に基づく)が存在することを示している。このような変化が、肥満の原因となる環境で細胞が病的な応答をする要因となり、ダイエットによりしばしば見られ問題となる「ヨーヨー」効果につながると思われる。将来的には、このエピジェネティック変化を標的にすることで、長期的な体重管理や健康転帰が改善できるかもしれない。

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