Article

神経科学:断続的な発火率符号化と手掛かり特異的なニューロン集団が作業記憶を支える

Nature 636, 8042 doi: 10.1038/s41586-024-08139-9

持続的で記憶事項(memorandum)特異的なニューロン発火活動は以前から作業記憶の基盤となると仮定されてきた。しかし、「活動休止型(activity-silent)」のシナプス機構に潜在的役割があると示唆する証拠が出てきている。この問題についての論争は決着しておらず、それは、どちらの見解の根拠も、単一試行時の集団動態を捉えていないデータセットによっている、あるいはニューロン発火の間接的指標によっていることが多いためである。今回我々は、作業記憶課題を実行中のサル外側前頭前皮質で、大規模局所ニューロン集団から同時記録した単一試行時の記憶情報の動態を検討することで、この論争に取り組んだ。その結果、記憶遅延期間中には、記憶情報はニューロン群の発火活動に存続するのではなく、協調的な「オン」状態と「オフ」状態を交互に繰り返すことが分かった。単一ニューロンレベルでは、オフ状態は記憶事項への選択性の消失と、発火率が自発的なレベルに戻ることによってもたらされる。ここで用いた大規模記録をさらに活用して、我々は、オフ状態中における少数ニューロン集団間の機能的結合のパターンでは、記憶情報が利用可能であることを示す。今回の結果から、記憶事項特異的発火の断続的期間は、シナプス機構と共存して作業記憶を支えると示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度