Article
微生物遺伝学:持続生残細菌の収斂細胞状態の特定と遺伝的解析
Nature 636, 8042 doi: 10.1038/s41586-024-08124-2
持続生残細菌(persister)細胞は、通常なら致死量の抗生物質を生き残るまれな表現型バリアントで、細菌感染を完全に除去する際の大きな妨げの1つとなっている。しかし、持続生残細菌が形成される詳細な生理的状態や遺伝的基盤の解明は、長年の課題となっている。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)の増殖遷移における高分解能の単一細胞RNAアトラスを作製した。これによって、多様な遺伝的モデルと生理学的モデルの持続生残細菌は標準的な増殖相とは異なった転写状態に収斂し、代わりに翻訳の低下というシグネチャーが支配的になることが明らかになった。次に我々は、超高密度CRISPR干渉法を用いて、大腸菌の全遺伝子が持続生残細菌の形成にどのように関与するのかを、さまざまな遺伝学モデルで調べた。その結果、大きな影響を持つ重要な遺伝子の中から、高度に保存されたプロテアーゼをコードする遺伝子lonと、特性がほとんど解明されていない遺伝子yqgEが見つかった。yqgEの産物は、飢餓後の休眠と持続生残の期間を強く制御する。この研究によって、飢餓を引き金とする持続生残性の原因となる重要な生理的因子と遺伝的因子が明らかになった。これは、治療抵抗性の細菌感染時に持続生残細菌を標的にするための重要な一歩である。

