Article

気候変動生態学:有孔虫類の過去の順化能力は今後の温暖化では制限される

Nature 636, 8042 doi: 10.1038/s41586-024-08029-0

気候変動は海洋の生物に影響を及ぼし、移動、生物量の減少、絶滅を引き起こしている。しかし、海生種がそうした変化に適応する能力は、地質学的時間スケールと人為改変の時間スケールのどちらでも、ほとんど絞り込まれていない。今回我々は、化石記録と、形質に基づく全球的なプランクトンモデルを組み合わせて、海生の石灰化動物プランクトン(リザリア系統群の有孔虫類)の最適温度を経時的に調べた。その結果、共生藻類を持つ、棘のある有孔虫類は、最終氷期極大期(LGM、2万1000~1万9000年前)の終わりの退氷をもたらした温度上昇に順化したが、共生藻類を持たない有孔虫(棘のあるものとないもの)は、同じ温度選好性を維持して極方向へ移動したことが明らかになった。一方、形質に基づくプランクトンモデルにおいて、今後100年間の急激な一過性の温度上昇(産業革命以前の基準に対して1.5℃、2℃、3℃、4℃の上昇)を強制したところ、全ての生態群(ecogroup)の順化能力は制限され、温暖化の速度に追随するには不十分であることが示唆された。その結果として、有孔虫類は極方向へと移動し、その全球の炭素バイオマスは、2100年までには1900~1950年の平均値と比べて(温暖化の速度に依存して)5.7~15.1%減少すると予測された。本研究は、人為起源の温暖化と地質学的な温暖化が海洋プランクトンとその生態系機能に課す、異なる難問を浮き彫りにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度