Article
大気化学:上部対流圏条件下におけるイソプレンからの新粒子形成
Nature 636, 8041 doi: 10.1038/s41586-024-08196-0
航空機観測によって、アマゾン川、大西洋、太平洋の上空の熱帯上部対流圏に新粒子形成が偏在していることが明らかになっている。それに関与する蒸気はまだ分かっていないが、最近の人工衛星観測によって、熱帯上部対流圏において最高で1体積ppb(ppbv)という予想外に高い夜間イソプレン混合比が明らかになっている。今回我々は、CERNのCLOUD(Cosmics Leaving Outdoor Droplets)チャンバーを用いて行われた実験において、−30℃および−50℃という上部対流圏温度でヒドロキシルラジカルとイソプレンの反応により新粒子形成が開始されることを報告する。我々は、イソプレン酸素化有機分子(IP-OOM)が、上部対流圏に見られる濃度で、それ以上の蒸気を必要とせずに核生成することを見いだした。さらに、核生成の速度は、105 cm−3以上という極めて低濃度の硫酸またはヨウ素のオキソ酸によって100倍になり、酸濃度106 cm−3で速度が約30 cm−3 s−1に達した。今回の測定結果は、核生成がIP-OOMの逐次的付加を伴うとともに、初期段階の分子クラスター中に0個または1個の酸分子が含まれることを示している。IP-OOMはまた、3~60 nm h−1という高速粒子成長も駆動する。我々は、雷由来の上部対流圏濃度のNOxの存在下で、高い核生成速度と成長速度が持続することを見いだした。我々の実験室測定結果は、熱帯雨林から放出されたイソプレンが広範な熱帯上部対流圏域で高速新粒子形成を駆動し、結果として1 cm3当たり数万個の粒子を形成する可能性があることを示している。

