免疫学:免疫チェックポイント心筋炎における心臓、血液、腫瘍での免疫応答
Nature 636, 8041 doi: 10.1038/s41586-024-08105-5
免疫チェックポイント阻害剤は広く使われている抗がん治療であるが、免疫関連心筋炎(irMyocarditis)など、病的で致死的となり得る免疫関連有害事象を引き起こすことがある。免疫関連心筋炎の発症機序や抗腫瘍免疫との関係はほとんど分かっていない。今回我々は、免疫関連心筋炎患者の心臓、腫瘍、血液における免疫応答を明らかにするために、 免疫関連心筋炎患者28人と非罹患患者41人から得られた試料について、単一細胞RNA塩基配列解読とT細胞受容体(TCR)塩基配列解読、顕微鏡法解析、プロテオミクスを組み合わせて解析を行った。8万4576個の心臓細胞について単一細胞RNA塩基配列解読とマルチプレックス顕微鏡法を組み合わせて解析したところ、免疫関連心筋炎の心臓組織では、細胞傷害性T細胞、従来型樹状細胞、炎症性繊維芽細胞の頻度と共局在が上昇していることが分かった。36万6066個の血液細胞の解析からは、免疫関連心筋炎では、形質細胞様樹状細胞、従来型樹状細胞、B細胞系譜の細胞の頻度が減少しているが、他の単核食細胞の頻度が上昇していることが明らかになった。8人の患者に由来する、心臓で増殖した52のTCRクローンは、心臓の自己抗原と推定されるαミオシン、トロポニンIあるいはトロポニンTを認識しなかった。さらに、心臓組織で豊富に見られるTCRは、対になる腫瘍組織で豊富に見られるTCRとほとんど重複していなかった。血液における細胞周期進行中CD8 T細胞集団に心臓で増殖したTCRが存在することは、免疫関連心筋炎症例の致死的な状態と関連していた。総合するとこれらの知見は、免疫関連心筋炎を駆動する重要な生物学的性質を浮き彫りにし、推定されるバイオマーカーを明らかにしている。

