腫瘍免疫学:幹細胞様CD4 T細胞の分化運命はがんに対する免疫を制御する
Nature 636, 8041 doi: 10.1038/s41586-024-08076-7
がんに対するT細胞の応答は、疾患の進行と免疫療法に対する応答を制御している。CD8 T細胞については広範な知識が得られているにもかかわらず、CD4 T細胞がこの過程にどのように関わっているのかはそれほど知られていない。今回我々は、自己複製とカノニカルなCD4エフェクター細胞への分化を行うことのできる幹細胞様の特性を持つPD1+TCF1+ CD4 T細胞集団を特定した。これらの腫瘍特異的CD4 T細胞は、基本的には腫瘍灌流リンパ節(TDLN)に存在していて、制御性T(Treg)細胞によって幹細胞様の運命に制限されており、主に誘導性Treg(iTreg)を生み出す。このiTregは、エフェクターCD8 T細胞の腫瘍に対する応答を制限する。対照的に、Tregを枯渇させると、幹細胞様CD4 T細胞は1型ヘルパーT(TH1)細胞に分化し、TDLNでIFNγ産生を介してTCF1+ CD8 T細胞からのロバストなエフェクター分化を誘導し、我々はこの状態を「活性」状態と定義した。注目すべきことに、移植した幹細胞様CD4 T細胞でTBETの発現を強化しただけで、確立されたT細胞の制限状態を解除するのに十分だった。Treg細胞が存在するにもかかわらず、内在する幹細胞様CD4 T細胞はTH1を活発に生み出し、これらの細胞はTDLNのエフェクターCD8 T細胞の分化を回復させ、腫瘍制御を強化し、免疫療法に対する応答を救済するのに必要だった。この結果と一致して、腎臓がん患者でのTH1の分化は、免疫療法成功という応答と無憎悪生存期間の改善を予測した。まとめるとこれらの知見は、幹細胞様CD4 T細胞集団が、別の分化運命をたどった結果、T細胞の制限状態と活性状態の切り替え(がんの免疫療法に関わる)を制御していることを明らかにしている。

