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量子ドット:電子注入とリークの制御による高効率のInP系緑色QD-LED

Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08197-z

リン化インジウム(InP)系の緑色量子ドット発光ダイオード(QD-LED)は依然として、低い効率と短い動作寿命という問題を抱えており、完全にカドミウムフリーのQD-LEDディスプレイや照明を実現する上で非常に重大な難題となっている。残念なことに、これらの限界の根底にある要因はいまだ明らかにされておらず、そのため、デバイス工学上の明確な指針は得られていない。今回我々は、電気励起過渡吸収分光法を用いて、カドミウムフリーの最先端の緑色QD-LED(InP–ZnSeS–ZnSのコア–シェル–シェル構造を広く採用)の低効率が中間層であるZnSeS層に起因しており、これは、この層が電子濃度とトラップの飽和を制限する高い注入障壁を課すためであることを見いだした。そして、現在広く使われているZnSeS中間層を、厚膜化したZnSe中間層で置き換えることにより、電子注入の向上とリークの抑制が同時に可能になることを実験および理論の両方から実証し、その結果、543 nmで発光するInP系緑色QD-LEDにおいて、ピーク外部量子効率26.68%、初期輝度1000 cd m−2T95寿命(輝度が初期値の95%に低下するまでの時間)1241時間を達成できた。これらの値は、以前の最高値をそれぞれ1.6倍および165倍上回るものである。

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