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保全生物学:2019~2020年のオーストラリアの巨大山火事による生物多様性への影響

Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08174-6

大規模な山火事の発生頻度が増しているため、巨大山火事がどのように生物多様性に影響を及ぼすかを速やかに学び、緩和策の優先順位を決めて政策を改善することが必要とされている。重要な課題としては、山火事レジームの構成要素、干ばつ、土地利用形態(land tenure)の間の相互作用が山火事の影響をどのように形作るかを明らかにすることが挙げられる。2019~2020年にオーストラリアで発生した世界的に前例のない巨大山火事では、1000万ha以上が焼失し、これによって生物多様性モニタリングへの大規模な投資が促された。収集されたデータには2000種類を超えるタクソンの応答が含まれ、巨大山火事がどのように生物多様性に影響を与えるのかを定量化するまたとない機会が得られている。本論文で我々は、動植物への影響が最大だったのは、過去に山火事が頻繁に発生した地域や過去の山火事から間のない地域、そして焼失の度合いが深刻であった地域内であることを明らかにする。また、焼失の深刻度が高かった地域、保護地域の外側、極端な干ばつに見舞われていた地域でも影響が大きかった。こうした影響には、火事後の減少と増加の両方が含まれ、地域的には雨林内で、生物としては哺乳類で、最も顕著な応答が見られた。今回の結果は、種間相互作用、分散、in situでの生存の度合いが、山火事への応答の基盤となる機構であることを示唆している。こうした生態系で山火事に対する復元力を築くには、山火事が頻繁に起きる地域での迅速な消火などによる山火事の再発抑制が重要である。湿潤生態系を守り、保護地域を拡大し、局地的な干ばつに注意を払うことも有意義と考えられる。こうした対策は発生頻度の増す巨大山火事の影響を緩和するのに役立ち得るが、人為起源の気候変動の改善が緊急の大規模な解決策であることに変わりはない。

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