化学:自律モバイルロボットによる探索的合成化学
Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08173-7
自律型実験室は化学合成における発見を加速できるが、これには、信頼できる意思決定に加えて測定の自動化が必要である。大半の自律型実験室には特注の自動化された装置が備わっており、反応結果は、配線で接続された単一の特性評価手法を用いて評価されることが多い。それに続く、いかなる意思決定アルゴリズムも、この狭い範囲の特性評価データを用いて動作しなければならない。対照的に、手作業の実験では、反応生成物の特性評価により広い範囲の計測機器を利用する傾向があり、決定が1つの測定結果だけに基づいて下されることはめったにない。今回我々は、装置を動作させて人間のように意思決定するモバイルロボットを用いることによって、合成実験室を自律型実験室に統合できることを示す。我々のモジュール式ワークフローは、モバイルロボット、自動化された合成プラットフォーム、液体クロマトグラフィー–質量分析計、ベンチトップ型核磁気共鳴分光計を組み合わせたものである。これによって、ロボットは、既存の実験装置を独占せずに、あるいは大規模な再設計を必要とすることなく、人間の研究者とそれらを共有できるようになる。ヒューリスティックな意思決定者(ロボット)は、関連性のない測定データを処理し、うまくいく反応を選択して進め、あらゆるスクリーニングヒットの再現性を自動的にチェックする。我々は、構造多様化の化学、超分子ホスト–ゲスト化学、光化学的合成という3つの領域において、この手法の実例を示す。今回の戦略は、複数の潜在的生成物が得られる探索的な化学に特に適しており、超分子集合に関して、我々は今回の方法をホスト–ゲスト結合特性の評価による自律的機能アッセイにも拡張した。

