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ウイルス学:カスタマイズされたコロナウイルス受容体の設計

Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08121-5

コロナウイルスはさまざまな受容体を使っているが、受容体が明らかにされていないコロナウイルスの特性解析は、感染モデルがないことで妨げられている。本論文で我々は、機能するカスタマイズされたウイルス受容体(CVR)を作製する戦略について報告する。このモジュール設計は、さまざまなモジュールからなる人工的な受容体骨格の構築と、特異的なウイルス結合ドメインの作製に基づく。スパイクのタンパク質分解切断、膜融合、シュードウイルスの侵入、さまざまなコロナウイルスの増殖を促進することで、CVRが本来の受容体を機能的に模倣するための重要な要因が見つかった。CVRを設計するために重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクの機能的な受容体結合部位を明確にし、N末端ドメインを標的とするS2L20-CVRが促す細胞侵入機構を明らかにした。我々は、6つの亜属由来の12の代表的なコロナウイルス(大部分は受容体が知られていない)に対してCVRを発現する細胞を作製し、汎サルベコウイルスCVRが増殖能のあるHKU3シュードウイルスや真正RsHuB2019Aの増殖を促すことを示す。我々は、HKU5特異的なCVRを使って、野生型およびZsGreen-HiBiTを組み込んだHKU5-1(LMH03f)の救済に成功し、コウモリの試料からHKU5株を単離した。我々の研究は、本来の受容体に依存しない感染モデルの確立に対するCVR戦略の可能性を示しており、これは感受性のある標的細胞が知られていないウイルスを研究するためのツールになる。

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