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発生生物学:プロト脊椎動物モデルであるホヤにおける神経堤の細胞系譜
Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08111-7
神経堤細胞は多能性前駆細胞であり、「新しい頭(new head)」のような、脊椎動物を定義付ける特徴を生み出す。今回我々は、被嚢類のホヤ(Ciona)を用いて神経堤の進化的起源を探索する。ホヤを用いたのは、この脊椎を持たない脊索動物が、現生の生物の中で最も脊椎動物に近縁な動物群だからである。これまでの研究から、ホヤには感覚色素細胞と双極性尾部ニューロンという2つの神経堤細胞タイプ候補が特定されている。最近の知見で、双極性尾部ニューロンは神経堤から生じた細胞ではなく、頭部感覚神経節と相同であることが示唆されている。今回我々は、色素細胞の細胞系譜が、変態後の幼若体の神経系領域を形成する神経前駆細胞も生み出すことを示す。神経前駆細胞は、脊椎動物の神経堤から生じる主要な細胞でもあることから、被嚢類と脊椎動物の最終共通祖先は神経板の境界に多能性前駆細胞集団を持っていたことが示唆される。従って、神経堤の重要な特性である多能性は、脊椎動物の出現より前に現れたと考えられる。

