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微生物学:リファキシミンの予防投与が最後の手段となる抗生物質ダプトマイシンに対する耐性を引き起こす
Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08095-4
バンコマイシン耐性Enterococcus faecium(VREfm)のような多剤耐性病原菌は、ヒトの健康に対する重大な脅威である。ダプトマイシンは新しい作用機序を持つ抗生物質で、VREfm感染に対する最後の手段とされる。これまでにダプトマイシン耐性が広く報告されているが、その原因は説明されていない。今回我々は、肝臓病患者の肝性脳症を防ぐために予防的に投与される、ダプトマイシンとは無関係な抗生物質リファキシミンが、ダプトマイシンに対するVREfmの交差耐性の原因となることを明らかにする。リファキシミン曝露に応答して細菌のRNAポリメラーゼ内にアミノ酸変化が生じ、これまで詳しく知られていなかったオペロン(prdRAB)の発現が上昇すると、細胞膜のリモデリングが起こり、ダプトマイシンの結合が減少するためにダプトマイシンに対する交差耐性が生じる。このような変異を持つVREfmが世界中に広がり、これが耐性の主要機構となっている。リファキシミンはこれまで、抗生物質耐性の発生については「低リスク」だと考えられてきた。我々の研究は、この低リスクという見方が誤っており、特に肝硬変患者でのリファキシミンの広範な投与が、多剤耐性菌に対する最終手段の介入法であるダプトマイシンの臨床使用に支障をきたす可能性があることを明らかにしている。これらの知見は、極めて重要な抗生物質の臨床利用を維持するために考えられた世界的な戦略が、予想外の抗生物質交差耐性の出現で台無しになる可能性があることを如実に示している。

