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神経科学:ヒト大脳皮質では集団バーストにおけるニューロンの発火シーケンスが情報を符号化する
Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08075-8
神経符号化は従来、異なる刺激に対する応答の発火率や潜時の変化を通じて調べられてきた。しかし、ニューロン群の中には、スパイク発火活動の一過性バーストという、各ニューロンが特定の時間的順序、すなわちシーケンスで発火するものもある。ヒト脳は、こうした集団バーストにおけるニューロンの発火シーケンスを利用して情報を効率的に表現し、スパイク発火率や潜時に基づくよく知られた神経符号を補完している可能性がある。今回我々は、視覚分類課題を実行中の8人の被験者で、前部側頭葉から単一ユニットの集団スパイク活動を記録することにより、こうした可能性を検討した。その結果、集団スパイク活動は、課題実行中に複数のバーストへと編成されることが分かった。各バーストでの活動ユニットのスパイク発火の時間的順序は、刺激の種類によって異なり、種類ごと、および1つの種類内の個別の例に対して、独特な典型的シーケンスを生み出していた。スパイク発火活動の時間的順序によって伝えられる情報は、そのユニットのスパイク発火率や刺激開始からの潜時によって伝えられる情報と区別が可能で、それらを補完するものであった。まとめると今回のデータは、ヒト脳には集団発火のバーストにおけるニューロンの発火シーケンスを基盤として情報を表現する、補完的な符号が備わっていることを示す証拠を提示している。

