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健康科学:空間プロテオミクスによって致死的な皮膚疾患に対する治療薬としてJAK阻害剤が同定された

Nature 635, 8040 doi: 10.1038/s41586-024-08061-0

中毒性表皮壊死症(TEN)は、一般的な薬剤によって引き起こされる致命的な薬疹であり、公衆衛生上の新たな問題となっている。TEN患者では突然、重篤な表皮剥離が起こり、その原因はケラチノサイトの細胞死である。ケラチノサイトの細胞死を引き起こす分子機構は提唱されているものの、その主要な発症機序は不明であり、TENに対する効果的な治療法もまだない。本研究で我々は、TENに関連する分子変化を体系的にマッピングし、有望な創薬標的を見つけるために、単一細胞ベースで細胞タイプ分解能のプロテオミクスを可能にするディープ・ビジュアル・プロテオミクスを活用した。我々は、重症度の異なる3種類の薬疹のホルマリン固定パラフィン包埋保存された皮膚組織生検を解析し、ケラチノサイトと皮膚浸潤免疫細胞における5000以上のタンパク質を定量化した。その結果、最重症であるTEN患者の免疫細胞とケラチノサイトにおいてI型とII型インターフェロンシグネチャーの顕著な増加、およびSTAT1がリン酸化により活性化されていることが明らかになった。汎JAK阻害剤であるトファシチニブによるin vitroでの標的阻害は、ケラチノサイトに対する細胞毒性を低下させた。トファシチニブ、バリシチニブ、またはJAK1特異的阻害剤のアブロシチニブあるいはウパダシチニブのin vivo経口投与は、2つの異なるTENマウスモデルで臨床的および組織学的な疾患重症度を改善した。重要な点として、JAK阻害剤による治療は安全であり、7人のTEN患者における皮膚の速やかな上皮化と治癒に関連していた。本研究は、JAK/STATとインターフェロンシグナル伝達経路が、TENの病因となる主要なドライバーであることを明らかにし、標的化JAK阻害剤がTENの有望な治療法であることを実証している。

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