量子ホール効果:ゼロ磁場複合フェルミ液体のトリオン・センシング
Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-024-08134-0
半充填最低ランダウ準位は、相互作用するトポロジカル相を研究するための魅力的なプラットフォームである。顕著な例に、強磁場中で複合フェルミオンによって形成される非フェルミ液体である複合フェルミ液体があり、そのゼロ磁場版が、ツイスト2層二テルル化モリブデン(tMoTe2)において予測されている。tMoTe2は、分数量子異常ホール効果を示す、最近発見された分数チャーン絶縁体である。ν = −1/2における輸送測定によって、ゼロ磁場複合フェルミ液体と一致する特徴が示されているが、その状態と素励起を調べるには新しいプローブが不可欠である。今回我々は、tMoTe2の特有のバレー特性を用いることによって、ゼロ磁場複合フェルミ液体の光学的特徴を報告する。我々は、正孔ドーピングおよび電場に対するトリオンのフォトルミネッセンスの円偏光度(ρ)を測定し、ロバストな強磁性を示す位相空間内において、フェルミ液体状態でρが1に近いことを見いだした。しかし、整数および分数いずれのチャーン絶縁体の場合も、そしてν = −1/2近傍の正孔ドーピング領域においても、ρは急低下していた。温度、光励起パワー、電場依存性の測定によって、ρの急低下が、チャーン絶縁体(複合フェルミ液体)の電子励起のエネルギーギャップ(擬ギャップ)の直接的な結果であることが実証された。トリオン形成に必要な局所的スピン偏極励起が強く抑制されるため、対応する充填率におけるトリオン形成は、光学的に生成された非偏極遍歴正孔に依存するのである。我々の研究は、tMoTe2に特有の、ゼロ磁場分数チャーン絶縁体物理の新しい励起子プローブに光を当てるものである。

