Article

神経科学:蚊ではヒトや花の手掛かりに対する味覚応答が刺咬と摂餌を導く

Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-024-08047-y

昆虫の行動には味覚系が制御しているものが多いが、蚊において、味物質がどのように符号化され、そうした物質が必須な行動をどのように調節しているのかについてはほとんど知られていない。今回我々は、侵略性の高い疾病媒介蚊であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)で、味覚刺激がどのように符号化され、そうした手掛かりが刺咬、摂餌、産卵にどのような影響を与えているかを調べた。その結果、頭部の主要な味覚器官である唇弁のニューロンが、ヒトなどの多種多様な手掛かりを異なる形で符号化していることが明らかになった。我々は、広範な符号化能力を有する3つの機能クラスの味覚感覚子を見いだした。興奮性応答に加えて、抑制性応答が広く見られることが分かり、そうした抑制性応答からは刺咬行動が予測できた。特定の苦味化合物は糖に対する生理的・行動的応答を抑制することから、それが欲求刺激に対する強力な停止信号として有用である可能性が示唆された。ヒトの汗や花蜜、産卵場所の水などの複雑な手掛かりは、ニューロン群から異なる応答プロファイルを生じさせた。我々は、ヒトの皮膚上や汗の中に存在し、相乗的に刺咬行動を促進する主要な味物質を特定した。トランスクリプトームのプロファイリングでは、行動を阻害するために標的化できる可能性のある味覚受容体が発見された。本研究は、蚊の味覚系の重要な特徴を明らかにしており、化学感覚機能を操作して疾病媒介蚊を防除する新たな方法を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度