Article

がん:AKT阻害剤とEZH2阻害剤は乳腺退縮機構を乗っ取ることでTNBCを殺傷する

Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-024-08031-6

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は乳がんの最もアグレッシブなサブタイプで、再発率が最も高い。進行したTNBCに対して優位を占める標準治療は全身化学療法で、単独あるいは免疫療法が併用されることがあるが、その応答期間は概して短い。そのため、もっと効果的な治療法の開発が緊急に必要である。PI3K経路の構成因子は妥当な治療標的とされており、TNBCの70%以上でPIK3CA、AKT1あるいはPTENの変化が見られる。しかし、ホルモン受容体陽性腫瘍とは異なり、TNBCがPI3K経路阻害剤に応答するのかどうか、またどのように応答するのかはまだ明らかにされていない。本論文で我々は、TNBCに対する、AKT阻害剤をベースとした有望な併用療法を報告する。具体的には、AKT阻害剤はヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2の阻害剤と相乗的に作用し、TNBCの複数のin vivoモデルで腫瘍退縮をロバストに促すことが分かった。AKT阻害剤とEZH2阻害剤は、まず協働的に働いて基底細胞様のTNBC細胞をより分化した内腔様状態へ進めることでこのような効果を発揮し、このような効果はどちらか一方の薬剤だけでは誘導できなかった。TNBCが分化すると、これらの薬剤は、本来は乳腺の退縮を促すシグナルを乗っ取ってTNBCを殺傷する。我々は機械学習法を用いて、感受性の予測に使用できる分類法を開発した。これらの知見によって、この非常にアグレッシブな腫瘍タイプに対する有望な治療戦略が明らかになり、脱調節されたエピジェネティック酵素ががんの脆弱性から腫瘍を防護できる仕組みが明らかになった。これらの研究はまた、発生中の組織に特異的な細胞死経路を治療効果に利用できる可能性も明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度