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構造生物学:ヒトTIP60-Cヒストン交換アセチルトランスフェラーゼ複合体の構造

Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-024-08011-w

クロマチン構造は、DNAの転写、複製、修復の重要な制御因子である。ヒトでは、TIP60–EP400複合体(TIP60-C)は20個のサブユニットの集合体で2つの酵素活性、すなわち、ヒストンH2A–H2BのH2A.Z–H2BへのATPに依存した交換と、ヒストンアセチル化によって、クロマチン構造に影響を及ぼす。しかし酵母では、これらの活性はSWR1とNuA4と呼ばれる2つの独立した複合体が行っている。これら2つの複合体の活性が、ヒトではどのようにして1つの超複合体にまとめられているのか、またこうして超複合体になることが、タンパク質の構造と機構やそれらのクロマチンへの集合にどのような意味を持つのかは知られていない。今回我々は、内在性ヒトTIP60-Cの構造について述べる。SWR1-like(SWR1L)部分とNuA4-like(NuA4L)部分からなる3つに分かれた葉状構造が見られ、これらはTRRAPアクチベーター結合モジュールと連結していることが分かった。大きなEP400サブユニットにはATPアーゼモーターが含まれ、これがSWR1LとNuA4Lの間の結合部分を2回横切って、3つに分かれた葉状構造の足場を構成している。NuA4Lは、酵母のこれと対応する部分と比べるとすっかり並び替えがなされている。TRRAPは、NuA4Lにつながれているが柔軟性があり、NuA4が酵母では全く反対側にロバストに結合されているのと際立った対照をなしている。SWR1Lに結合されたヌクレオソームモデルからは、TIP60-Cの活性分析により裏付けられたように、ヒストン交換機構のいくつかの側面が、酵母で見られるものとは異なっていることが示唆された。さらに、固定されたアクチンモジュール(SWR1上の動的なアクチン部分複合体とは対照的である)、TRRAPの柔軟性、そしてヌクレオソーム外DNAの交換活性への影響が弱いことは、TIP60-Cをクロマチンへと導くアクチベータを基盤とした多様な様式につながる。

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