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量子シミュレーション:双極性超固体における量子渦の観測
Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08149-7
超固体は、2つの連続対称性、すなわち結晶構造の出現による並進不変性と、超流動現象の原因となる、一粒子波動関数の位相固定に起因する位相不変性とを自発的に破る物質の状態である。超固体は当初、固体ヘリウムに存在すると予測されていたが、それを観測する初めてのプラットフォームとなったのは極低温量子気体であり、とりわけ双極性原子が成功を収めている。双極性超固体における位相固定は、例えば、位相コヒーレンスやギャップレスのゴールドストーンモードの測定を通して調べられてきたが、超流動の流体力学的指紋である量子渦はまだ観測されていない。今回我々は、自由に使える前提条件、つまり双極性気体と、二次元結晶秩序を持つ超固体とに渦を発生させる方法を用いて、超固体相(SSP)における渦の理論的研究と実験的観測について報告する。今回の研究により、変調されていない量子流体と変調された量子流体の間の、渦の種を発生させるダイナミクスの根本的な違いが明らかになった。これは、量子結晶や中性子星などの異質な領域において、多数の対称性が自発的に破れたエキゾチック量子系の流体力学的性質を研究する扉を開くものである。

