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材料科学:高分子膜中の水和細孔を通した選択的イオン輸送

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08140-2

イオン伝導性高分子膜は、電気透析、レドックスフロー電池、燃料電池、電気分解装置など、多くの分離プロセスや電気化学的装置に不可欠である。こうした膜におけるイオンの輸送や選択性の制御は、主に細孔サイズの操作に懸かっている。膜の細孔構造は乾燥状態で設計できるが、電解質溶液中で膜が膨潤するため、水和時に見直される。細孔水和を制御する戦略と細孔構造変化のより深い理解は、正確な細孔サイズ調整に極めて重要である。今回我々は、荷電基の水和能力と細孔膨潤を調節するためにそれらの近傍に戦略的に配置された、さまざまな疎水性のペンダント基を有する高分子膜を報告する。分光学的方法や計算的方法によって定量化されているように、水和した微細孔のサイズ(2 nm未満)の調節によって、幅広い長さスケールにわたって水やイオンの輸送を直接制御することが可能になった。より疎水性の高いペンダント基によって形成された、水和が制限された細孔において、イオン選択性が向上した。細孔ゲートサイズが調整され、高度に相互接続されたこうしたイオン輸送チャネルは、従来の膜と比較して高いイオン伝導率と数桁低いレドックス活性種透過速度を示し、これにより高エネルギー密度の水系有機レドックスフロー電池の安定サイクルが可能になった。この細孔サイズ調整法によって、イオン・分子輸送機能が精密に制御された膜を実現する有望な手段が得られる。

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