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天文学:ブラックホールの低質量X線連星はくちょう座V404星は広軌道をとる三重星の一部である

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08120-6

ブラックホールや中性子星などのコンパクト天体が形成されるとき、それらは「誕生時のキック(natal kick)」を受ける可能性があって、この間に星の残骸は運動量を得るということを示唆する証拠がある。中性子星のキックの観測的証拠は相当数存在するが、ブラックホールの誕生時のキックについては限られており、いくつかの提案されているブラックホール形成シナリオでは、生じるキックは非常に小さい。本論文で我々は、標準的なブラックホールの低質量X線連星(LMXB)であるはくちょう座V404星が、内側の連星から少なくとも3500天文単位(AU)離れた所に第三の伴星を持つ、広軌道をとる階層構造の三重星の一部であることを報告する。この軌道形状を仮定すると、この系のブラックホールは、5 km s−1以下のキックを受けたことで、第三の星の解放を免れたと考えられる。この発見は、少なくともいくつかのブラックホールは、誕生時のキックをほとんど受けずに形成されるという考えを支持している。さらに、この系の第三の星によって、階層的な三重構造が関わるLMXBの進化モデルの信用性が高められる。意外なことに、この第三の星は進化した星であり、これは、この系が50億~30億年前に形成され、ブラックホールが、進化した第二の伴星から太陽質量の少なくとも半分に相当する物質を取り除いたことを示している。ブラックホールが形成される事象の間、ブラックホールの前駆天体の質量の少なくとも半分がブラックホールに崩壊する必要があるが、前駆天体が完全な爆縮を起こし、第三の星が緩やかに結び付いたままになっている可能性もある。

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