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進化学:ブラジルの白亜紀の鳥類化石から得られた鳥類の頭蓋と脳の進化に関する情報
Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08114-4
現生鳥類(クラウン群鳥類)に特有の頭蓋や脳の起源は、中生代の三次元的な化石が不足しているため解明が進んでいない。本論文で我々は、ブラジルで発見された、保存状態が極めて良好な後期白亜紀の新属新種の化石種Navaornis hestiaeについて報告する。Navaornisの頭蓋に歯はなく、眼窩が大きくて、アーチ状の頭蓋はクラウン群鳥類の状態に酷似しているが、系統解析の結果、Navaornisは中生代のステム群鳥類の極めて多様なクレードであるエナンティオルニス類に位置付けられた。Navaornisの頭蓋は、全体的な形状が定量的にはクラウン群鳥類のものと区別がつかないものの、主に上顎骨からなる吻、不動性の口蓋、双弓類型の側頭部構造、小さな小脳、わずかに拡大した終脳など、多数の祖先形質を維持していた。また、こうした古い神経頭蓋形質は、クラウン群鳥類に近い脳の屈曲度や、形状は多くのクラウン群鳥類のものに類似しているがサイズはそれより著しく大きい骨迷路と組み合わさっていた。総じて、Navaornisの頭蓋の新しい形状は、クラウン群鳥類とエナンティオルニス類という、最後の共通祖先が1億3000万年以上前までさかのぼる2つの分類群の間の前例のない類似度を示している。Navaornisは、系統発生的に始祖鳥(Archaeopteryx)よりもクラウン群に近いステム群鳥類の頭蓋および頭蓋内の詳細な形態に関して、長く探し求められていた手掛かりをもたらすとともに、現生鳥類に特有の神経構造がいつ、どのように形成されたのかを明らかにしている。

