Article

宇宙物理学:数百万台のスマートフォンによる電離圏のマッピング

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08072-x

電離圏は、地球上空の約50〜1500 kmに広がる、地球磁場の影響を受けている弱電離プラズマ層である。電離圏の全電子数は、地球の宇宙環境に応答して変化し、全球測位衛星システム(GNSS)の信号と干渉して、測位、航法およびタイミングサービスの最大の誤差発生源の1つとなっている。質の高いGNSS地上観測点のネットワークは、こうした誤差を訂正するための電離圏全電子数のマップを提供するが、これらの観測点からのデータには大きな時空間的空白が存在し、これは、こうしたマップが誤差を含んでいる可能性があることを意味している。今回我々は、雑音の大きいセンサーの分散ネットワーク(数百万台のアンドロイドスマートフォンからなる)が、こうした空白の多くを埋めることができ、測定範囲を倍増させて、従来のインフラのサービスが行き届いていない地域で電離圏の正確な描像を提供できることを立証する。我々は、スマートフォンによる測定を用いて、インドと南米の上空におけるプラズマバブル、北米上空の太陽嵐により強化された密度、そしてヨーロッパ上空の中緯度電離圏トラフなどの特徴を解明した。また、結果として得られた電離圏マップにより、我々の主たる目的である測位精度を向上できることも示す。今回の研究は、スマートフォンの大規模な分散ネットワークを、地球を監視する強力な科学的機器として用いる可能性を立証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度