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生態学:高CO2は24年の期間においてNが誘発する多様性の喪失を抑制した後に増幅させた

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08066-9

大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇と窒素(N)の沈着量の増大は、さまざまな形で植物群落に影響を及ぼす。N沈着は局所的な生物多様性の喪失を全球的に引き起こしているが、CO2濃度の上昇がそうした多様性の喪失を増幅するのか、あるいは抑制するのか、また、そうした影響がある場合それがどのような機構で起こるのかについては、いまだ不明でほとんど研究されていない。この知識の空白を埋めるため、今回我々は、108の草原区画を24年にわたり、異なるCO2およびNの条件で生育させる野外実験を実施した。その結果、初めは、N添加による植物種数の減少が、CO2濃度が高い条件において、通常のCO2濃度条件よりも抑制されることが明らかになった。しかし、この相互作用は時間の経過とともに逆転し、CO2濃度が高い条件ではN添加による多様性の喪失が増幅され、実験の最後の8年間にはN添加による種数の減少がほぼ3倍に達した。これらの相互作用は、多様性の駆動要因(特に光の利用可能性)の時間的変化の結果であり、そうした変化は次いで、CO2およびNの投入と、それらに付随する植物生物量の変化によって駆動された。CO2およびNという植物資源の添加は優占種の個体数を増加させる可能性が高いため、この機構は多くの草原で同様であると考えられる。CO2濃度の増加が一般的にN沈着の植物多様性に対する広範な悪影響を助長するのであれば、これは世界の草原の生物多様性保全にとって悪い前兆である。

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