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免疫学:神経ペプチドシグナル伝達がT細胞の分化を調整する

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08049-w

1型ヘルパーT(TH1)細胞と他のTH細胞のバランスは、抗ウイルス応答や抗腫瘍応答に極めて重要であるが、このバランスを実現する仕組みはほとんど明らかになっていない。今回我々は、in vitro極性化の際および急性ウイルス感染後のin vivo分化の際のTH1細胞分化の動的調節を詳細に解析した。独自のTH1–TH2細胞の二方向性分化誘導培養系を用いてヘルパーT細胞分化を調整する調節因子を特定し、複数のin vitroおよびin vivoのCRISPRスクリーニングによりそれらの因子の調節機能を系統的に検証した。神経ペプチドCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の受容体の構成要素であるRAMP3が、TH1細胞運命の決定において細胞固有の役割を担っていることが分かった。細胞外CGRPによる受容体RAMP3–CALCRLを介したシグナル伝達は、TH2細胞の分化を制限したが、下流のCREB(cAMP response element-binding protein)とATF3(activating transcription factor 3)の活性化を介してTH1細胞の分化を促進した。ATF3は、TH1細胞分化の重要な調節因子であるStat1の発現を誘導することにより、TH1細胞の分化を促進した。ウイルス感染後、ニューロンが産生するCGRPとT細胞上に発現したRAMP3との相互作用により、抗ウイルスに働くIFNγ産生TH1およびCD8+ T細胞応答が高まり、急性ウイルス感染が適時に制御された。我々の研究は、ニューロンが急性ウイルス感染の際に神経ペプチドCGRPを産生することで、T細胞の運命決定に関与する、新たな神経免疫回路を明らかにするものである。CGRPはRAMP3発現T細胞に作用して効果的な抗ウイルス性TH1細胞応答を誘導する。

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