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分子生物学:発達中のヒト脳での時間的に異なる3Dマルチオミクス動態

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08030-7

ヒトの海馬と前頭前皮質は学習と認知に重要な役割を担っているが、これらの発達中に見られる動的な分子特性は依然として不明である。本研究で我々は、海馬と前頭前皮質の発達中に起こるエピゲノムと三次元クロマチンコンホメーションの再編成について調べた。用いたのは、クロマチンコンホメーションとDNAメチル化のsnm3C-seq3(single-nucleus methyl-3C sequencing)法で生成した5万3000以上の統合単一核プロファイルである。DNAメチル化のリモデリングは、クロマチンコンホメーションの動態とは時間的に分かれていた。また、単一細胞プロファイリングとマルチモーダル単一分子画像化を使って、ニューロンでは短距離間で起こるクロマチン相互作用が多いが、グリア細胞と脳以外の組織では長距離相互作用が多いことが明らかになった。細胞タイプの発生と分化の調節プログラムを再構築したところ、統合失調症の原因と推定されるありふれたバリアントが見つかり、これらはクロマチンループと結び付いた細胞タイプ特異的な調節領域と強く重複していた。我々のデータは、脳の発達の間の遺伝子調節動態を調べるためのマルチモーダルな情報資源となり、単一細胞の三次元マルチオミクスが、神経精神病理学的リスク座位を解析するための強力な手法となることを実証している。

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