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神経科学:カルシウム透過性AMPA受容体がPVニューロンの特徴選択性を決める

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08027-2

脳は、外界についての内部表現を形成することで生存に役立っている。興奮性の皮質ニューロンは多くの場合、特定の外部刺激に対して厳密な選択性を持つ。しかし、パルブアルブミン陽性(PV)の介在ニューロンなどの抑制性ニューロンは、一般に選択性が低い。PV介在ニューロンは、AMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸)受容体(AMPAR)などの、神経伝達物質受容体サブタイプにおいて、興奮性ニューロンとは異なっている。興奮性ニューロンは、GluA2サブユニット(GRIA2にコードされる)を含むカルシウム不透過性のAMPARを発現しているのに対し、PV介在ニューロンはGluA2サブユニットを含まないカルシウム透過性のAMPAR(CP-AMPAR)を発現している。今回我々は、PV介在ニューロンの低い特徴選択性が、CP-AMPARの発現と因果関係を持つことを実証する。PV介在ニューロンでは、GRIA2のmRNA発現が他のサブユニットに比べて化学量論的に低く、これは、フェレット、齧歯類、マーモセット、ヒトで保存されていて、CP-AMPAR発現が高い原因となっていることが見いだされた。PV介在ニューロンのCP-AMPARをカルシウム不透過性AMPARに置き換えると、視覚皮質でのそれらの方位選択性が高まった。P-AMPAR発現を減らす操作によって、こうした方位選択性の高まりが細胞自律的で、発生を超えた変化によっても起こり得ることが示された。注目すべきことに、興奮性ニューロンとPV介在ニューロンの接続率と単一シナプス強度は、CP-AMPARの除去によって変わることはなく、これは、PV介在ニューロンの方位選択性が、接続性を大きく変えることなく変更できることを示唆している。全てのAMPARがカルシウム透過性であるGria2ノックアウトマウスでは、興奮性ニューロンの方位選択性は著しく低下しており、これは、CP-AMPARが細胞タイプにかかわらず低選択性を起こすのに十分であることを示唆している。さらに、海馬のPV介在ニューロンは、通常は空間選択性が低いが、CP-AMPARの除去後に選択性が増し、CP-AMPARが感覚モダリティーとは独立してPV介在ニューロンの特徴選択性を抑制することが示された。今回の結果は、CP-AMPARが、PV介在ニューロンにおいて選択性の低い感覚表現を維持する上で果たす新たな役割を明らかにしており、新皮質のこの細胞タイプを他と区別する進化的に保存された分子機構の存在を示している。

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