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微生物学:菌類に細菌を移植することによって、新たな細胞内共生を誘発

Nature 635, 8038 doi: 10.1038/s41586-024-08010-x

細胞内共生は、生命の進化にこれまで極めて大きな影響を及ぼしており、今もさまざまな生物種の生態に影響を与えている。細胞内共生によって新たな組み合わせの生化学的能力が生じ、それによって革新や多様化が促進される。生命の系統樹の至る所で細胞内共生の例が多数知られているにもかかわらず、それらのde novo出現の例はまれで、それらを遡及的に発見するのは難しい。今回我々は、クモノスカビ属の糸状菌Rhizopus microsporusに細菌を移植して、この人為的に誘発した細胞内共生の運命を追跡した。細胞質ゾル中に大腸菌Escherichia coliを移植した場合は隔壁の形成が誘発されて、細胞内共生発生が効果的に停止し、菌類内生細菌Mycetohabitans rhizodinicaは頻度は少ないものの子孫に垂直伝播した。細胞内共生に対する正の選択を継続的に行うと、適応進化の結果、最初の適応度の制約が桁違いに軽減された。系が安定化するにつれ、宿主での変異の蓄積によって、表現型の変化が明確になった。この細菌は新しい宿主内でリゾキシン同属体を産生し、誘発された細胞内共生によって代謝機能が伝播することが実証された。従って、単一細胞の移植は、細胞内共生発生開始の際に起こる重要な事象を研究するための強力な実験手法となるとともに、望ましい特性を持つ細胞内共生の設計に向けた合成的手法開発の可能性が開かれる。

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