Article

古代ゲノミクス:オーロックスのゲノム自然史

Nature 635, 8037 doi: 10.1038/s41586-024-08112-6

現在は絶滅しているオーロックス(Bos primigenius)は、先史時代のユーラシアおよび北アフリカの生態系におけるキーストーン種で、数千年にわたり人類に食料や労働力を提供してきた家畜ウシ(Bos taurus)の祖先に当たる。本研究で我々は、オーロックスの38例の古代ゲノムを解析し、この種にはヨーロッパ、南西アジア、北アジア、南アジアの4つの異なる祖先系統が存在し、各系統が、気候の変化および人間による影響に応答した動的な軌跡を持つことを見いだした。オーロックスが初めてヨーロッパに移動したのは、ホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)と同様に約65万年前だったが、初期の個体群は系統的にわずかな痕跡しか残さず、北アジアとヨーロッパのオーロックスゲノムの合祖はいずれも最終氷期に起きていた。北アジアとヨーロッパの個体群はその後、前期完新世に気候が改善した後に交雑するまで分断されていたと見られる。ヨーロッパのオーロックスは、最終氷期極大期にはさらに深刻なボトルネックを経験し、南方のレフュジア(避難地)に退避した後にイベリア半島から再定着した。家畜化は、南西アジアのオーロックス個体群から少数の個体を捕獲することによって行われ、その後、家畜化個体が原産地を超えて分散した後に、各祖先系統のオーロックスを用いて、雄を介した初期の広範な交配が行われた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度