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がん遺伝学:染色体外DNAの起源と影響

Nature 635, 8037 doi: 10.1038/s41586-024-08107-3

染色体外DNA(ecDNA)は、がん患者の治療抵抗性や転帰不良の原因となる主要な因子の1つである。今回我々は、さまざまながんに関してecDNAの多様性を調べ、関連する組織、遺伝的背景や変異の状況を明らかにした。我々は、10万ゲノムプロジェクトから39タイプの腫瘍について患者1万4778人のデータを解析することにより、腫瘍試料の17.1%にecDNAが含まれることを実証した。さらに我々は、組織の状況に基づいたecDNAの選択を強く示唆する新たなパターンを明らかし、これによってゲノム含有量と起源組織が結び付けられた。ecDNAは、ドライバーがん遺伝子の増幅機構であるだけでなく、リンパ球を介した免疫や免疫エフェクター過程を調節する遺伝子のような、免疫調節性遺伝子や炎症遺伝子を高頻度で増幅する機構でもあることが分かった。その上、免疫調節性遺伝子を持つecDNAは、腫瘍へのT細胞浸潤の減少と関連していた。エンハンサー、プロモーター、lncRNAエレメントだけを持つecDNAが見つかったことから、ecDNA間のトランスに働く相互作用の組み合わせ効果の存在が示唆された。我々はまた、タバコへの曝露のようにecDNAの形成に関連する過程や、相同組換え修復欠損のようにecDNAの進行に関連する過程など、ecDNAに関連する内因性と環境性の変異過程も特定した。臨床的には、ecDNAの検出は腫瘍の病期に関連しており、標的治療や細胞傷害性治療後により広く見られ、転移や全生存期間の短縮にも関連していた。これらの結果から、ecDNAは協調的に腫瘍増殖シグナルを促進したり、転写全体像を変化させたり、免疫系を抑制したりする可能性があり、臨床的に大きな問題になる理由が明らかになった。

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