Article

神経回路:モジュール型回路が求愛戦略の多様化を調整する

Nature 635, 8037 doi: 10.1038/s41586-024-08028-1

配偶相手を認識するシステムは、種間の生殖障壁を強化するために速やかに進化するが、その基盤となる神経機構は謎である。今回我々は、ショウジョウバエ属(Drosophila)の雌のフェロモン産生と雄のフェロモン受容の速やかな共進化を利用して、配偶者認識回路の構造がどのようにして回路の多様化を促すかに関して洞察を得た。ショウジョウバエ属の一部の種では、雌は同種の雄を刺激するように働く独特なフェロモンを産生するが、多くの種のフェロモンは性的に単一形で、雌は、雄が配偶者認識に使うことのできる識別可能な化学感覚的特徴を持たない。本論文で我々は、ヤクバショウジョウバエ(D. yakuba)の雄が、性的に単一形のフェロモンである7-トリコセンを、求愛行動を促す興奮性の手掛かりとして用いる能力を進化させたことを示す。ショウジョウバエ属の複数の種にわたって、フェロモン回路の主要なノード(結節点)を比較したところ、この感覚的新機軸が末梢と中枢の協調的な回路適応から生じたことが明らかになった。感覚ニューロンの特定の亜集団が7-トリコセンに対する感受性を獲得し、これが次いで、中央脳P1ニューロンの一部集団に選択的に信号を伝えて求愛行動を誘発する。こうしたモジュール型の回路構成では、異なる感覚入力が平行する複数の求愛制御ノードと独立に共役でき、これが、新たな感覚モダリティーが雄の興奮と結び付けるようにすることで、配偶者認識システムの進化を促した可能性がある。まとめると今回の知見は、末梢と中枢の回路適応が、さまざまな種にわたって配偶者認識戦略の速やかな進化の基盤となるよう、いかに柔軟に協調し得るかを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度