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がん:2Dと3D空間での腫瘍の進化と微小環境相互作用

Nature 634, 8036 doi: 10.1038/s41586-024-08087-4

がん細胞と非がん細胞の間の空間的な相互作用を調べるために、今回我々は、Visium空間トランスクリプトミクス(ST)により、6タイプのがんについて78症例から採取した131腫瘍切片のコホートを調べた。我々はこれに、対応付けした48の単一核RNA塩基配列解読試料と、対応付けした22のCODEX(co-detection by indexing)試料を組み合わせ、腫瘍の構造と生育環境を説明するために、間質構成成分により隔てられた空間的に異なるがん細胞クラスターとして「腫瘍微小領域(tumour microregion)」を定義した。腫瘍微小領域はがんタイプによってサイズと密度が異なり、転移試料において最大の微小領域が観察された。さらに、共通する遺伝的変化を持つ微小領域を「空間的サブクローン」にグループ化したところ、35の腫瘍切片でサブクローン構造が見られた。コピー数変化や変異が異なる空間サブクローンは、異なる発がん活性を示した。微小領域の中央部では代謝活性が上昇しており、辺縁部では抗原提示が増加していることが明らかになった。我々はまた、微小領域内のT細胞浸潤にばらつきがあり、腫瘍の境界には主にマクロファージが存在することを観察した。16の試料からの48枚のST切片を重ね合わせることで腫瘍構造を3Dで再構成し、腫瘍の空間的な構成と不均一性に関する手掛かりを得た。さらに、教師なし深層学習アルゴリズムを使用し、STデータとCODEXデータを統合することにより、免疫学的に「熱い」近隣領域と「冷たい」近隣領域を特定し、3Dサブクローンの周囲で免疫疲弊マーカーが上昇していることを明らかにした。これらの知見は、2Dと3D空間における局所的微小環境との相互作用を介した空間的な腫瘍進化についての理解に寄与し、腫瘍生物学に関する貴重な手掛かりをもたらすものである。

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