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社会科学:南アジアでは行政官のインセンティブが作物焼却と乳幼児死亡率を減少させる

Nature 634, 8036 doi: 10.1038/s41586-024-08046-z

南アジアの大気汚染は公衆衛生上の緊急事態であり、毎年200万人の死につながっている。作物残渣の焼却は、冬季の収穫期における汚染ピークの40~60%を占めている。この行為は違法であるにもかかわらず、いまだに広く行われている。この問題を抑制するためのいかなる解決策も、政府による大規模な措置を必要とする。本研究で我々は、作物焼却の制御を担当する行政官のインセンティブを利用することで、この現象を緩和できるかどうか検討した。我々は、人工衛星と、人口統計・健康調査(DHS)プログラムの調査から得られた10年間の風、焼却火、健康に関するデータを用いて、作物焼却は行政官のインセンティブに対して反応を示し、焼却火は、風が汚染を近隣の管轄区へと向ける可能性が極めて高い場合には15%増加するが、自らの管轄区が汚染される場合には14.5%減少したことを明らかにする。こうした効果は、行政官のインセンティブや能力が大きいほど強化された。また、作物焼却に対する行政官の処罰措置は後の汚染者を思いとどまらせ、焼却火をさらに13%減少させることも分かった。さらに、大気モデルを用いることで、作物焼却による汚染へのin utero曝露が1対数増加すると出生数1000件当たりの乳幼児の死亡数が30~36件増加すると推定され、行政官が講じる措置の重要性が強調された。作物焼却の問題は対策を講じるのが困難であるという考え方が広がりつつあるが、本研究の知見は、既存の行政官でも、適切なインセンティブがあれば環境管理や公衆衛生に関してより良い成果を上げられることを具体的に示している。

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