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微生物学:ファージはNAD+を再構成して細菌の免疫に対抗する
Nature 634, 8036 doi: 10.1038/s41586-024-07986-w
細菌は、さまざまな抗ファージ防御系を通してファージ感染に対して防御する。近年、多くの防御系が、感染に応答してニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を切断し、ADPリボース(ADPR)とニコチンアミドにすることで、細胞のNAD+を枯渇させることが示されている。感染時のNAD+の枯渇は、ファージからこの必須分子を奪い、ファージの複製を妨げることが実証されている。本論文で我々は、大部分のファージは、感染細胞においてNAD+の分解産物からNAD+を再構成できる酵素経路を複数持っていることを示す。NAD+再構成経路1(NARP1)は2段階経路であり、1つ目の酵素がADPRをリン酸化してADPRピロリン酸(ADPR-PP)を作り、2つ目の酵素がADPR-PPとニコチンアミドを共役させてNAD+を生成する。NARP1をコードするファージは、ThoerisやDSR1、DSR2、SIR2–HerA、SEFIRなど、いずれも防御機構の一部としてNAD+を枯渇させる多様な防御系を無効化できる。系統発生解析によって、NARP1は本来ファージゲノムにコードされていることが分かり、これが細菌の防御に対抗する上でファージ特異的な機能であることが示唆された。2つ目の経路であるNARP2は、ファージがADPR-PPとは異なる代謝物を用いてNAD+を作ることによって細菌の防御を無効化できる。我々の知見は、防御系が枯渇させた分子をウイルスが再構築し、それによって宿主の免疫を無効化するユニークな免疫回避戦略を明らかにしている。

