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幹細胞:CRISPR–Cas9スクリーニングで明らかになった神経幹細胞における老化の調節因子

Nature 634, 8036 doi: 10.1038/s41586-024-07972-2

哺乳類の成体脳では、老化によって、神経幹細胞(NSC)が静止状態から増殖状態へと移行する能力が損なわれる。NSCの機能低下は、新たなニューロンの産生の減少や、老化過程における損傷後の再生不全につながる。老化した脳機能を改善する遺伝学的介入法がいくつか見つかっているが、老化したNSC(および全般的な老化細胞)の遺伝子機能は体系的に調べられていない。本研究で我々は、老齢マウスでNSCの活性を増強する遺伝子ノックアウトを体系的に明らかにするために、in vitroとin vivoでのハイスループットCRISPR–Cas9スクリーニングプラットフォームを開発した。若齢と老齢のマウスに由来するNSCの初代培養細胞でゲノム規模のスクリーニングを行ったところ、老化NSCの活性を特異的に回復させる遺伝子ノックアウトが300以上見つかった。上位の遺伝子ノックアウトは、繊毛の組織化やグルコース輸入に関連するものだった。我々は、in vivoでのスケーラブルなCRISPR–Cas9スクリーニングプラットフォームも確立し、これを用いて、老化脳でNSC活性とニューロン新生を増強する24の遺伝子ノックアウトを特定した。特に、GLUT4グルコース輸送体をコードするSlc2a4のノックアウトは、老化NSCの機能を改善する介入として上位だった。グルコース取り込みは老化過程のNSCで増加し、一時的なグルコース飢餓は老化NSCの活性化能を回復させた。従って、グルコース取り込みの増加は、加齢に伴うNSC活性化の低下に関与している可能性がある。我々の研究は、老化NSCの機能を増強する遺伝学的介入法(in vivoのものも含む)を体系的に特定するためのスケーラブルなプラットフォームを提供するもので、老化の過程において再生能低下に対抗する上で重要な意味を持つ。

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