Article
発生生物学:グルコース代謝の選択的利用が哺乳類の原腸形成を導く
Nature 634, 8035 doi: 10.1038/s41586-024-08044-1
発生中の生物における形態学的パターン形成についての一般的な定説では、転写因子ネットワークとシグナル伝達モルフォゲンの組み合わせによる入力のみが、空間的および時間的に異なる発現パターンを作り出すとされる。しかし、代謝もまた、エネルギー産生や成長における機能とは独立に、非常に重要な発生調節因子として浮上してきている。in vivoで発生中の哺乳類胚を形作る細胞プログラムの指示において栄養素利用が担う機構的な役割は明らかになっていない。今回我々は、発生中のマウス胚、幹細胞モデル、胚由来組織の外植片についての単一細胞分解能での定量的画像化法を用いて、哺乳類の原腸形成の際にグルコース代謝の2つの波(空間分解された細胞タイプ特異的な波と発生段階特異的な波)が見られることを明らかにする。グルコース代謝の時空間的な第一波は、ヘキソサミン生合成経路を介して生じて胚盤葉上層で運命獲得を引き起こし、第二波は、解糖を用いて中胚葉の移動と側方拡大を導くことが分かった。さらに我々は、グルコースが細胞のシグナル伝達経路を介してこれらの発生過程に影響を及ぼし、それぞれの波においてグルコースとERK活性を結び付ける機構が異なることが実証する。我々の知見は、遺伝的機構や形態形成勾配との相乗効果により、区画化された細胞代謝が、発生過程における細胞運命や特殊化された機能を導く際に不可欠であることを明らかにするものである。この研究は、細胞代謝が一般的でハウスキーピングな性質を持つという考えに疑問を投げ掛け、さまざまな発生状況における細胞代謝の役割について貴重な手掛かりを示している。

