Article

自己集合:超分子フッ化ビニリデン強誘電相のペプチドプログラミング

Nature 634, 8035 doi: 10.1038/s41586-024-08041-4

強誘電体構造は、外部電場を用いて反転させることができる自発的な巨視的分極を有しており、情報ストレージ、エネルギー変換、超低消費電力ナノエレクトロニクス、生物医学デバイスなどに応用の可能性がある。これらの機能は、強誘電体構造のナノスケールでの制御、低い印加電場(低い抗電場)で分極を切り替える能力、生体適合性から恩恵を受ける可能性がある。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系の柔らかい強誘電体は、ホモポリマー中の熱力学的に不安定な強誘電相、複雑な半結晶構造、そして高い抗電場を有する。今回我々は、テトラペプチドに共有結合させたわずか6個のVDF繰り返し単位を含有する水溶性分子によって形成された、強誘電体材料について報告する。この水溶性分子は集合して、タンパク質に遍在するβシート構造を形成する性質を持つ。これが、βシートの水素結合の優先方向とVDF六量体の双安定な極性軸の両方に平行な長軸を有する、熱力学的に安定なリボン状の強誘電性超分子集合体の発見につながった。一般的に使用されている強誘電性共重合体に対して、この生体分子集合体は、ペプチド含有量が49 wt%であるにもかかわらず、超分子ダイナミクスの結果として2桁低い抗電場を示し、また、同程度の残留分極を示した。さらに、この集合体のキュリー温度は、同程度の量のVDFを含有する共重合体よりも約40°C高い。この超分子系は、生物学に着想を得た戦略によって作り出されたもので、この戦略は、持続可能性の点で魅力的であり、柔らかい強誘電体の新しい機能につながる可能性があるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度