Article

代謝:脳から腸へのシグナルが腸での脂肪吸収を制御する

Nature 634, 8035 doi: 10.1038/s41586-024-07929-5

脂肪は食餌中の重要なエネルギー源だが、過剰摂取すれば肥満の原因となる。腸での脂肪吸収は、拡散によって器官自律的に起こると広く考えられている。しかし、この過程が脳–腸軸によって制御されているのかどうかはほとんど分かっていない。今回我々は、迷走神経背側運動核(DMV)がこの過程に重要な役割を担っていることを示す。DMVニューロンの不活性化は腸での脂肪吸収を低下させ、その結果として体重減少をもたらすのに対し、DMVの活性化は脂肪吸収と体重増加を引き起こす。特に、空腸に投射する一部のDMVニューロン集団の不活性化は、微絨毛の長さを短縮させ、それにより脂肪吸収を低下させる。さらに我々は、天然化合物のプエラリンはDMV–迷走神経経路の抑制を模倣し、それが脂肪吸収の低下を引き起こすことを明らかにした。光親和性標識法と、プエラリン–GABAA受容体複合体のクライオ電子顕微鏡構造から、プエラリンはアロステリック調節部位に結合することが分かった。また重要なことに、DMVでGabra1を条件的ノックアウトすると、プエラリンが誘発する腸での脂肪減少がほとんど起こらなくなった。まとめると、DMV–迷走神経–空腸軸の抑制は、微絨毛の長さを短縮することで腸での脂肪吸収を制御することが分かり、GABRA1へのプエラリンの結合は脂肪減少における治療効果が期待できることが示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度