計算生物学:がんの診断と予後予測のための病理基盤モデル
Nature 634, 8035 doi: 10.1038/s41586-024-07894-z
組織病理画像の評価は、がんの診断とサブタイプ分類に欠かせない。組織病理画像解析のための標準的な人工知能手法では、各診断タスクに対して特化したモデルの最適化に重点を置いている。このような手法はある程度の成功を収めているが、さまざまなデジタル化プロトコルで生成された画像や、さまざまな集団から収集された試料に対する一般化には限界がある。今回我々は、この難問に取り組むために、系統的ながん評価用に病理画像の特徴を抽出する汎用の弱教師付き機械学習フレームワークであるCHIEF(Clinical Histopathology Imaging Evaluation Foundation)モデルを考案した。CHIEFは、タイルレベルでの特徴識別用の教師なし事前学習と、ホールスライドのパターン認識用の弱教師付き事前学習という2つの相補的な事前学習法を利用して、さまざまな病理表現を抽出する。我々は、19の解剖学的部位にわたる6万530枚のホールスライド画像を用いてCHIEFを開発した。CHIEFは44テラバイトの高分解能病理画像データセットによる事前学習で、がん細胞の検出、腫瘍起源の特定、分子プロファイルの特徴付け、予後予測に役立つ顕微鏡的表現を抽出した。24の病院とコホートで国際的に収集された32の互いに独立したスライドセットからの1万9491枚の画像を用いて、CHIEFの有効性を実証することに成功した。全体として、CHIEFは最新の深層学習法よりも最大で36.1%優れた成績を示し、多様な集団に由来する、多様なスライド標本作製法で処理された試料で見られるドメインシフトに対応する能力を持っていることが明らかになった。CHIEFはがん患者に対する効率的なデジタル病理評価を行うための一般化可能な基盤となる。

