老化:食餌制限は遺伝的に多様なマウスの健康と寿命に影響を与える
Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-08026-3
カロリー制限は、多数の生物種で健康寿命を延ばす。断続的断食は食餌制限の代替法の1つで、ヒトの場合、長期間持続できる可能性があるが、その効果はほとんど調べられていない。最も効果的な食餌制限の方法を見つけることは、ヒトの健康や寿命延長に役立つ介入法の開発に極めて重要である。今回我々は、レベルの異なるカロリー制限(20%と40%)と断続的断食(1週間に1日または2日の断食)が遺伝的に多様な960匹の雌マウスの健康と生存に与える影響の詳細な評価を行った。その結果、カロリー制限と断続的断食はどちらも制限の程度に比例して寿命の延長につながることが分かった。ただ、寿命は遺伝性であり、寿命に与える影響は食餌制限よりも遺伝的要因が大きかった。寿命との関連が最も強い形質としては、処置期間を通しての体重維持(ストレス回復力の指標)、リンパ球比率の高さ、赤血球分布幅の低さ、老年期の高度脂肪過多などである。健康への影響は介入の仕方によって異なり、寿命延長との関連性は一貫していなかった。40%のカロリー制限は最も強力な寿命延長効果を示したが、除脂肪体重の減少と、感染への感受性を高める可能性のある免疫レパートリーの変化につながった。断続的断食は、介入前の体重が高かったマウスの寿命は延ばさず、2日の断続的断食は赤血球細胞集団の崩壊に関連していた。食餌制限に対する代謝応答(脂肪過多の低下や空腹時血糖の低下など)は寿命延長には関連しなかったので、食餌制限には、単に肥満の悪影響に対抗すること以上の作用があると示唆される。これらの知見は、健康状態の改善と寿命の延長が同義ではないことを示しており、そこから、前臨床モデルや臨床試験で老化への介入を評価するために、どの評価項目が最も適切なのかという疑問が浮かび上がる。

