神経変性:C型FTLD-TDPにおけるANXA11とTDP-43によるヘテロマー型アミロイド繊維
Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-08024-5
神経変性疾患は、中枢神経系における特定タンパク質の異常な繊維状の凝集を特徴とする。ヒト遺伝学研究により、神経変性ではタンパク質凝集が因果的役割を持つことが明らかにされている。しかし、その根底にある分子機構についてはほとんど未解明であり、神経変性疾患に対する臨床ツールの開発を進める上での制約となっている。近年のクライオ電子顕微鏡の発展により、患者の脳から抽出したタンパク質繊維の構造を決定することができるようになった。筋萎縮性側索硬化症(ALS)やA型およびB型のTDP-43(TAR DNA-binding protein 43)封入体を伴う前頭側頭葉変性症(FTLD-TDP)におけるTDP-43のように、これまでに調べられたいずれの神経変性疾患も、タンパク質が自己集合したホモマー型のアミロイド繊維を特徴としていた。今回我々は、クライオ電子顕微鏡を用いて、孤発性FTLD-TDPで最も多い形態の1つであるC型FTLD-TDP患者の脳から抽出した繊維の構造を決定した。予想外に、この構造からは、第二のタンパク質としてアネキシンA11(ANXA11)がTDP-43と共に凝集して、ヘテロマー型のアミロイド繊維を形成していることが明らかになった。この秩序立った繊維の折りたたみは、TDP-43のG282/G284–N345残基とANXA11のL39–Y74残基で形成されており、これらはそれぞれのタンパク質の低複雑性ドメイン内のものである。以前にタンパク質間相互作用に関与することが示唆されていたTDP-43とANXA11の領域は、繊維の折りたたみの中心に広範な疎水性界面を形成している。これらの繊維の免疫ブロットから、ANXA11の大部分は、アネキシンコアドメインを欠く約22 kDaのN末端断片として存在することが明らかとなった。脳切片の免疫組織化学から、封入体中でANXA11とTDP-43が共局在していることが示され、C型FTLD-TDPの組織病理学的特徴が再定義された。本研究により、C型FTLD-TDPにおけるANXA11の中心的な役割が明らかとなった。ヒト脳での前例のないヘテロマー型アミロイド繊維形成は、アミロイド凝集に関する我々の理解を改めさせ、神経変性疾患の発症に重要な意味を持つ可能性がある。

