天文学:マイクロクエーサーV4641 Sgr周辺の超高エネルギーガンマ線バブル
Nature 634, 8034 doi: 10.1038/s41586-024-07995-9
マイクロクエーサーは、自転するブラックホールへの降着によって生成される相対論的粒子のジェットを研究する実験室である。マイクロクエーサーは十分に近い距離にあるため、多波長スペクトルにわたって空間的特徴の詳細な撮像が可能である。最近、マイクロクエーサーSS 433の空間的な形態をTeVガンマ線まで拡張して測定した結果、電子加速がブラックホールから遠く離れたジェット内の衝撃波で起こることが突き止められている。いて座V4641星(V4641 Sgr)は、ブラックホールとB型主系列星の伴星で構成される類似の連星系であり、2.8日の公転周期を持つ。この天体は、超エディントン降着と、天の川銀河で最も高速な超光速ジェットの1つである電波ジェットの点で着目されている。V4641 Sgrのこれまでの観測では、ガンマ線放射は報告されていない。本論文で我々は、V4641 SgrからのTeV領域のガンマ線放射について報告し、SS 433と同様のブラックホールからの距離での粒子加速を明らかにする。さらに、V4641 Sgrのガンマ線スペクトルは、既知のあらゆるガンマ線源から観測されたものの中で最も硬いTeV領域のスペクトルの1つであり、200 TeV以上で検出された。ガンマ線は、より高いエネルギーを持つ電子あるいは陽子のいずれかの粒子によって生成されている。高エネルギーの電子はそのエネルギーが高いほど急速にエネルギーを失うため、このようなスペクトルは、電子生成機構を非常に強く制約するか、高エネルギー陽子の加速を示すかのいずれかである。これは、マイクロクエーサーからの大規模なジェットが、これまで予想されていたよりも一般的である可能性があり、それらが銀河宇宙線の重要な発生源である可能性を示している。

